Without Sound / Within

littlegirl needs KLAXON

littlegirl needs KLAXON

昨年の年間ベストでも取りあげたlittlegirlhiaceと、今年の『ガラスの心臓』で一気に心をつかまれたFUZZKLAXONの対バン企画。

開演前

せっかくのライブなので出演者の音源を聴いていくつもりだったが、Syrup 16gが新譜『Canon Feel』をリリースしていたためつい耳を引っ張られる。インタビュー記事も読んだ。このバンドにこんな言葉を添えるのもなんだが、今はとても健康的にバンドをやっているんだなと感じる。五十嵐は「53です。ヤバっ! 引きますね。」と言うが、1世代くらい下の自分からしたら、むしろ希望だよ、と思う。

いきなり関係ない話で始まったように思われるかもしれないが(別に後半の文章で回収するわけでもないのだが)、今回のライブとそう遠くない話だと感じたので書き留めておく。

さて今回は下北沢なのでお気に入りの貝汁ラーメンを食べてから会場へ。littlegirlhiaceの新作はちいかわ映画がモチーフらしい。島次郎リスペクトの食事となった(?)。

入場。
ぎゅうぎゅうですごい。9割がた埋まっており、ある程度余裕をもって観たいこちら側の体感では満員。

会場は延々とRadioheadの『the bends』が流れていた。「Just」のMV、あのアウトロを聴いてエレキギターを買う決意をしたころを思い出す。ちょうど「Blackstar」にさしかかったあたりで本編が始まって、ART-SCHOOL的には謎にちょっと熱かった(?)。

本編

FUZZKLAXONは、とにかくバンドとして強い。ボーカルの安定感、演奏のカッコ良さ、楽曲の良さ。ノイズやギターソロパート、コーラスがかったギターが広がる空間と、リズム隊だけの時間、映し出される景色が鮮やかで多彩。そして何より、誰かが持ち込んだだろう明確なモチーフが、バンドメンバーの個性でもって今の新しい何かとなり、この場に瑞々しく鳴っている感じがした。

特に新譜の「ライラック」「北へ」「最善を尽くした」が大好きなので、どれも聴けて嬉しかった。以前ツイートした通り「最善を尽くした」は今年のベストトラックのひとつだとあらためて確信した。


littlegirlhiaceは、矢継ぎ早に、無限のごとく繰り出される楽曲に、音楽性は違えどなんだかパンクバンドを連想した。原曲をスリーピースで再構築した演奏は楽曲のコアを浮き彫りにし、フレージングやメロディの良さをあらためて感じさせた。そしてリズム隊がすごい。ギターソロに入った時の抜けも気持ちよかった。「グレートエスケープ」カッコよ!いつか「リムってよ」なども聴きたい。

また、物販が音源だけでなくZINEからソングブックまでものすごく充実しており、理由はうまく言えないが直感的に「カッコイイ」と思った。無限に生み出されていく楽曲や、そこから間接的に感じたパンクのイメージ。その音楽制作スタイルとこの物販棚が、同じ精神性で強くリンクしているように見えたからかもしれない。物販も表現の一部に思えた。


どちらも楽曲の良さを前提として、FUZZKLAXONはまっすぐ、littlegirlhiaceはひとつ特殊なフィルターをかけて出力しているように感じた。

誰も書きとめなさそうだが、終演後のBGM入りがちょうど「Bullet Proof..I Wish I Was」(この世で最も美しい曲のひとつ)のあの暗いAメロだったためどうなることかと思った。バンザイの大団円に向かうあたりであのコーラス部が流れ出し、なんて素晴らしいエンディングテーマなんだ……となった。後光としてのトム・ヨークのウィンクを感じた(?)。

・・・・・


全体を通して、なんだか「漫画」のような時間だった。それは最後のアンコールのカバーや共演といった光景のせいもあるだろうが、なんだろう、夢のような……。何かが叶っているような時間だった気がする。

なんでそんなことを思ったのかは分からないが、今日ここにカッコいいバンドが2組いたことはその理由のひとつだろう。

帰り道は何も音楽を流さなかった。良いライブを観たあと、何も再生しなくても何だか満たされている気がする、この感覚が好きである。いつもより遠回りして家まで歩いた。

この記事が気に入ったら:
☆